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種をまく人 -グリーンテリア 芦屋

季節の変わり目らしい不安定な天候が続いています。
例年以上に世の中が慌しく動いている3月、状況はどうあれいつもと変わらず
みなさまに喜んでいただけるように、落ち着いて確実によいものをお届けしたい
と思います。

先月、そんな慌しさを見ないふりで思い切って高知まで、県立美術館にきている
ミレー展を見に出掛けてきました。
今回の展示はミレー生誕200周年を記念してボストン美術館からやってきた
コレクション。
中でもボストンの3大ミレーと言われる有名作品「種をまく人」、
「羊飼いの娘」、「刈入れ人たちの休息」が一度にそろう貴重な機会
ということで話題となっており、またミレー以外のバルビゾン派画家の作品も
多く展示されていました。

緻密な風景画や農村の生活を生き生きと描いた絵はどれも小難しいこと抜きに
素晴らしく、ミレーといえば「落穂拾い」くらいしか挙げられなかった私でも
充分に楽しめる内容でした。
(ちなみに「落穂拾い」はオルセー所蔵のため今回は展示されていません)
3大作以外で特に印象に残ったのは「ソバの収穫」、「馬鈴薯植え」、
ミレーの作品ではないけれど「日没前の光に照らされるイガマメ畑」など。
全体的に農村や森の風景が主題となっているためやさしい色調のものが多く、
田舎育ちの私にとっては国や時代は違えどなんとなくなじみ深い風景に思えて
落ち着くように感じました。
意外にもヨーロッパでは風景画という分野がこの頃まで確立されていなかったこと
などこれらの絵が描かれた時代背景や、ミレーが労働を尊いものだととらえていた
ことが伺える様々なエピソードも興味深く、これまで単純に有名な画家としか
認識していなかったミレーについて少しは理解を深めることができて、
また改めて他の絵も見てみたくなりました。

写真はちょうど紅白満開だった美術館の梅。
数日後には寒さが戻り各地で大雪のニュースが伝えられたのですが、
この日はたまたま暖かく穏やかでゆっくり芸術鑑賞を楽しむことができました。

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